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主任研究者ごあいさつ
  •  肺炎球菌は小児細菌感染症の重要な原因菌のひとつで、髄膜炎、菌血症、肺炎、中耳炎などを引き起こします。中でも、無菌部位から菌が分離される病態(髄膜炎、菌血症など)である侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は、2歳未満の小児で罹患リスクが高く、重大な問題です。

     近年、主な肺炎球菌莢膜血清型を複数組み合わせたワクチンが順次開発・発売され、2010年2月には、2歳未満の乳幼児に免疫原性をも

  • 主任研究者 藤澤隆夫

つ7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)であるプレベナー®が、小児用肺炎球菌ワクチンとして発売され、2013年からは13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)に変更されました。このワクチンを本邦に先立って導入している欧米諸国では、IPDの顕著な減少が観察されており、本邦でもIPDの減少が確認されています。

 しかしながら、PCV7導入から10年あまり経過した米国では、IPD症例から分離される肺炎球菌血清型の比率が変化していることが報告されています。国内においても、地域を限定して行われている調査ではありますが、抗生物質耐性の肺炎球菌株が年々増加する傾向にあることが報告されています。

 そこで、今後の効果的なワクチン接種や肺炎球菌感染症の治療方法を検討するためにIPD、肺炎、急性中耳炎を発症した患児から検出された肺炎球菌株を全国レベルで集積し、肺炎球菌莢膜血清型並びに薬剤感受性の測定とモニタリングを行う。また、肺炎球菌感染症を発症した症例の尿検体を採取し、健常小児と比較する。さらには既存の尿中肺炎球菌抗原検査(BINAX NOW)の結果と比較することでUADの有用性を検討する研究を計画いたしました。

 本研究は、一医療機関では完結することができません。IPDの治療をされている多くの小児科医の先生方のご理解、ご協力が必要です。是非とも本研究の必要性をご理解賜り、多くの医師、研究者の先生方のご参加をお願いいたします。

2019年11月吉日
主任研究者
国立病院機構三重病院 
藤澤 隆夫

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