子どもたちの命に関わる病気があります。
突然命を奪われたり、重い後遺症が残ったりする細菌性髄膜炎などの肺炎球菌感染症。
あなたのお子さんも、いつ発症するかわからない怖い病気です。
この肺炎球菌感染症はワクチンで予防できますが、ワクチンが効きにくい肺炎球菌がアメリカで見つかり、
その菌についての研究が日本でもはじめられました。
[この研究の必要性]
肺炎球菌は表面が莢膜というかたい殻に覆われた細菌で、90種
類以上のタイプ(莢膜血清型)があります。そのうち子どもに感
染しやすいと予想される7種類の莢膜血清型を組み合わせてワク
チンが作られ、日本では2010年2月に2歳未満の小児用として
発売された「プレベナー®(小児用7価肺炎球菌ワクチン)」というワクチンを接種することができるようになり、 2013年11月からは「プレベナー13®(小児用13価肺炎球菌ワクチン)」というワクチンに変更されました。
また、この他に肺炎球菌感染症を予防するワクチンとして、1992年に発売された成人用の「ニューモバックス®(23価多糖体ワクチン)」があります。
それぞれのワクチンは、重大な感染症を引き起こす原因となる7種類(7価)と13種類(13価)と23種類(23価)の莢膜血清型(肺炎球菌のタイプ)で作られ、このワクチン接種によって、子どもの肺炎球菌による感染症の減少が期待されています。
しかし、10年以上前から肺炎球菌ワクチンを定期的に接種しているアメリカでは、肺炎球菌感染症にかかった患者さんの莢膜血清型が変化していることが報告されています。特に、抗生物質が効きにくく治療が難しい 肺炎球菌が流行し、ワクチンの効果が弱くなることが心配されています。
日本でも、肺炎球菌莢膜血清型の変化を調べることで、今後の効果的なワクチン接種や肺炎球菌感染症の治療方法の検討に役立てることができると期待されます。
【この研究では実際にどんなことをするの?】
この研究では、肺炎球菌感染症にかかった子どもから採取された肺炎球菌と尿を全国の医療機関から集めて、肺炎球菌莢膜血清型や有効な抗生剤の種類を調べます。
※この調査は、「ヘルシンキ宣言」や「疫学研究に関する倫理指針」に従って実施されます。